自ら上場廃止とする東芝の今後の「生存確率」は?
東芝は2023年11月22日に開催された臨時株主総会で、株式非公開化に向けた株式併合などの議案が承認された。12月20日に東京証券取引所への株式上場が正式に廃止となり日本産業パートナーズ(JIP)を中心とする20社超の国内企業連合傘下で再生を目指す。それに先立つ9月20日、日本産業パートナーズ(JIP)が運営するTBJH合同会社によるTOBが、東芝の自社株を除く発行済み株数(432,880,186株)の78.65%を1株=4620円で買い付けて成立していた。当初の公約通り、応募が9割に満たなかったため臨時株主総会を開催して全株買取りのための株式併合(9300万株を1株に併合して発行済み株数を4株とする)の承認を諮っていた。全株買取り要する金額はちょうど2兆円である。
さんざん経営の手足を縛っていた「物言う株主」とやっと決別し、島田太郎社長によると「安定した株主体制のもとで技術を軸に改革する」らしいが、これで東芝の未来が薔薇色になるわけではない。
1875年創業で、1949年から取引所に株式上場している「日本を代表する名門企業」だったはずの東芝が、ありとあらゆる迷走を繰り返した結果、自ら株式市場から退場することになる。その迷走の歴史を振り返り、今回の株式非公開化の問題点と、これからの東芝の「生存確率」などを考えてみたい。
株式が非公開化されれば情報開示が大きく制限される密室状態となるため、現時点でできるだけ「公正に」考え、また「保存版」としても使える記録を残して置きたいと考える。
従って全般的に解説が「くどい」と感じられると思うが、ご容赦願いたい。
〔その1〕 東芝迷走の歴史(第1幕) 2017年3月期の債務超過転落まで
2015年の粉飾発覚から始めるが、問題の芽は1996年~2005年に東芝の社長・会長を務めた西室泰三の時代から大きくなっていた。・・・・・・・・
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